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スピードの女王

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スクーデリア・コルサに所属し、IMSA選手権でクラス優勝を飾った初の女性ドライバー、クリスティーナ・ニールセンが本誌と対談

文:ダヴィデ・マルキ

圧倒的にして貪欲、そして驚異的な速さ、それがクリスティーナ・ニールセンの世界です。デンマーク出身の彼女は、24歳という若さながらスクーデリア・コルサのFerrari 488 GT3を走らせ、IMSA選手権のGTデイトナクラスを制したことから、早くもモータースポーツの歴史にその名を残しています。

 

TOFM(オフィシャル・フェラーリ・マガジン):10時間に及んだレースのうち、最初の3時間をあなたが走って勝利を収めました。リタイアを恐れず勝利だけを目指した果敢な走りでしたね。ステアリングを3人目のジェフ・シーガルに預けて、あなた自身の優勝を決めたときはどんな感じでしたか?

 

CN(クリスティーナ・ニールセン):強烈な暑さの中、私が走った時間は188分でした。ジェフにバトンタッチするようチームから指示があった時、私は無線で何度も問いかけたんです。「3時間走ったの?3時間?本当に?」って。マシンから降りた時はピットの壁にもたれかかってしまいました。暑さで意識はもうろうとしていたんですが、うれしさで胸は高鳴っていたんです。複雑な感覚でしたよ。一緒にタイトルを獲得したアレッサンドロ・バルザンが抱きついてきて、自分達が本当に勝ったんだということを実感しました。一口の冷たいスイカに救われた気持ちでした。とにかく水分が欲しかったんです。

プチ・ル・マンで走るニールセン <em>写真:LAT フォトグラフィック</em>
プチ・ル・マンで走るニールセン 写真:LAT フォトグラフィック

TOFM: 488 GT3をセブリング12時間のレースで初めて走らせてクラス優勝を果たしました。 そのときマシンに一目ぼれしたとういうことですね。

 

CN: そうです。私は自分のマシンがすごく気に入っています。フェラーリのマシン、それからマラネッロとスクーデリア・コルサのスタッフを一言で表現できる言葉を選ぶとすれば、それは「クオリティー」だと思います。

 

TOFM: どのような人生哲学をお持ちですか?

 

CN: 人生は全力で生きるべきであって、自分の目標を達成するためには全てを捧げなくてはならないと信じています。私は頑固なところがあるので、一度考えたことはなかなか変えられないんです。

 

TOFM: ドライバー以外の肩書もお持ちのようですが・・・

 

CN: 私はホースホルム大学に在籍していて、ハイレベルな学生アスリートのためのプログラムに参加しています。このプログラムでは、学位課程により多くの時間をかけることができるんです。私にとってはレースがすべての中心になっていますが、引退後のことも考えてマーケティングの勉強もしています。この分野で仕事を続けていきたいですね。できれば自動車メーカーがいいなと思っています。私のToDoリストには、イタリア語を学ぶことも含まれていますが、イタリア語はとても難しい言葉です。

ニールセンの愛車 Ferrari 488 GT3 と 写真:マーク・ヒル
ニールセンの愛車 Ferrari 488 GT3 と 写真:マーク・ヒル

TOFM: サーキットを離れているときはどんな生活をされていますか?

 

CN: 自宅での時間を大切にするようになりました。仲の良い友人達と、美味しいワインや食べ物を楽しみながら過ごすのが好きです。私のお気に入りはお寿司です。私は料理のレパートリーが少なくて、サーモンやサラダを出す程度なので、今では友達が料理をしてくれます。私の料理下手に耐えられなくなったんでしょうね。

 

TOFM: あなたに刺激を与えた方はいらっしゃいますか?

 

CN: トム・クリステンセンですね。ル・マン24時間で9回も勝利したデンマーク出身のドライバーで、耐久レースにおける真の実力者だと思っています。それからデビッド・ベッカムです。彼は偉大なサッカー選手でありながら、人にメッセージを伝える能力もきわめて優れています。様々な面で成功している点が私にとっては魅力的です。

 

TOFM: かつてレーシングドライバーであったあなたの父、ラース=エリクもあなたの全レースをサポートしているようですが・・・

 

CN: 彼は私の良き理解者であって、私の夢をサポートしてくれています。

プチ・ル・マンで歴史的な勝利へと駆けるニールセン <em>写真:LAT フォトグラフィック</em>
プチ・ル・マンで歴史的な勝利へと駆けるニールセン 写真:LAT フォトグラフィック

TOFM: これで一息つけますね。

 

CN: あと数日は休みますが、休むのはそこまでです。勉強しなくてはなりませんから。私はジャコモ[マッティオリ、スクーデリア・コルサのオーナー]に頼んでFerrari California Tを貸してもらおうと思っています。具体的な目的地は無いんですけど、オープントップでアメリカ国内を旅したいと思っているんです。Ferrari California Tはとても素晴らしい車です。でも、もし選ぶなら、私は躊躇せずに488 Spiderを選びます。ブルー・コルサの488 Spiderは、最高のフェラーリだと思いますよ。もちろんGT3の次ですけどね… 

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